フイ・カーン詩集

    フイ・カーン略歴     

 フイ・カーンは1919年5月31日、北ベトナムのハア・ティン地方のアン・フィ村に生まれた。フエで学んだのち、 ハノイの農業高等学校で学んだ。
 最初の詩集『聖人』(1940年)によって名を知られるようになり、第二詩集『宇宙の歌』(1942年)によって名声を確かなものにした。
 1941年、彼は学生だったが、非合法の民族解放闘争に参加した。1945年9月2日、ホー・チ・ミンの指導の下に「ベトナム独立宣言」の署名者のひとりとなった。
 かれはその政治的行動と平行させて詩作をつづけ、年とともに豊かなものにした。
 1945年8月、かれは民族解放国民委員会の委員に選出され、ベトナム民主共和国の最初の政府の要職につく。・・・
 かれは現在、国民議会の文化教育委員会の副委員長の職にある。
 また、文化の分野におけるフイ・カーンの国際的活動の主なおもなものはつぎのようなものである。1962年、カイロにおけるアジア・アフリカ作家会議の議長団に選出され、 1968年、ハバナにおける世界文化会議の議長団に選出される。
 フイ・カーンの詩業は、20冊に及ぶ詩集から成り、多様な主題をうたい、ベトナムの詩のもっとも豊かなもの一つである。素朴であると同時に知的な、 宇宙的であると同時に日常的な、その詩表現によって、かれの詩は普遍を獲得する。自然の歌い手としての彼の詩はしばしば宇宙的な大きさ・ ひろがりに到達しており、生の詩人としての彼の詩は、古いベトナムの伝統にむすびついていると同時に、かれが青年時代に深い影響をうけた西欧文化に むすびついている。その詩業の大きさと深さによって、フイ・カーンは二〇世紀のベトナム詩を代表するひとりである。