序 詩
アントニオ・マチャード
ある晴れた日 愛する
わが詩を読んで
わたしは見た 深い鏡
のなかに おのれの夢を
なんと怖れをもって真実が
そこに ふるえていることか
それはまた 風の中に香りを
投げやる 花のようだ
詩人の たましいは
神秘へと むかう
詩人だけが 遠く
魂のなかにあるものを
見ることができる かすんだ
魔法の太陽に包まれて
この思い出の 果てしない
晝廊のなかに
哀れなひとびとは
戦勝品(トロフィー)のように ひっ掛けた
虫の喰った 古い
祭りの服を だが
詩人は見ることができる
夢想の 黄金色の
蜜蜂の 永遠の働きを
詩人たちよ 深い空に
こころくばる魂よ
むごい戦いのなかで
また 静かな庭のなかで
われらは新しい蜜を作ろう
古い苦しみで
忍耐づよく作ろう
清らかな白い服を
太陽の下で 磨こう
強い 戦いの甲冑を
夢をもたない魂
敵なる鏡は
われらの姿を映し出す
みにくいかたちで
われらは感じる 血の波が
われらのこころのなかを
ながれて……微笑むのを
さあ われらの仕事にもどろう
(マチャード/アルベルティ詩集 1997年12月 土曜美術社出版販売)