パリ・コミューンの詩人たち |
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ジャンヌ・マリイの手 アルチュール・ランボオ ジャンヌ・マリイはたくましい手をしている、 夏がなめしたほの暗い手、 死んだひとの手のような青ざめた手。 ──これは、ジュアナの手ではないか? この手は、快楽の沼から ほの暗い、栗いろのクリームをつかんだのか? この手は、清らかな池に降りそそぐ 月の光りのなかにひたつていたのか? この手は、美しいひざのうえで、静かに、 原始の空を飲んだのか? この手は葉巻たばこをまき、 ダイヤモンドをあきないしたのか? この手は、聖母の熱い足のうえの 黄金の花をしぼませたのか? ベラドンナ*のような黒い血が、 その手のひらに燃えては、また眠る。
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