パリの街歩き  ジャック・ゴーシュロン 大島博光訳


  



訳注 パリは革命の都である。一七八九年のフランス大革命、一八七一年のパリ・コミューヌなど、その歴史の足跡は、いまもルイ十六世と王妃アントワネットの処刑されたコンコルド広場、民衆の蜂起したバスチーユ広場、二百余名の最後のコミューヌ戦士が銃殺されたペール・ラシェーズ墓地の「コミューヌ戦士の壁」などとして残っている。  詩人は、この革命の都パリの街を歩きながら、革命の歴史を追想する。蜂起した民衆のひとりとなって、「名もない者のなかの名もない者」のひとりとなって、革命を追体験し、革命を再構築する。それは、むろん単なる歴史の傍観者としてではなく、歴史をおし進める民衆のひとりとしてであり、実践者のひとりとしてである。そしてかっての奴隷は二〇〇年後のこんにち何物になったかと、詩人は自問する。「名もない者のなかの名もない者」のひとりとなること──これこそ詩人が革命の歴史から実践的に学びとったものであろう。